「アーユルヴェーダ」の歴史

「世界で最初の医学体系」の歴史をたどる

「世界で最初の医学」と呼ばれるアーユルヴェーダの歴史をたどってみましょう。
すると、現代の医療にいかに大きな影響を与えているのかがよくわかります。

アーユルヴェーダが「世界最古」と呼ばれる理由

インドを起源とするアーユルヴェーダの医学体系には約5000年の歴史がありますが、さらにそのオリジンをたどると6000年以上前にさかのぼるともいわれます。なぜなら紀元前3000年ごろ、インダス川流域で高度な文明が存在していたモヘンジョ・ダロの遺跡から、アーユルヴェーダの薬として使われたものが出土しているからです。

アーユルヴェーダは5000年前にはすでに病気の分類、治療科目、治療法、薬剤の多くが医療体系としてほぼ完成されていました。これがチベットを超えて中国の伝統療法と融合したのが、現在の中国医学の原型です。中国最古の医学書『黄帝内経』の成立が紀元前221年〜202年ごろといわれていますから、いかにアーユルヴェーダの歴史のほうが古いかがわかるでしょう。また、インドの医学者で内科医であった医聖チャラカが集大成を行った内科に関する最古の学術論文『Charaka Samhitaha(チャラカ・サンヒター)』には、病気の原因、薬の効果や治療法のみならず、病原菌や寄生虫、抗生物質についての記載があり、現在でもアーユルヴェーダの古典的教科書とされています。

こうして、世界でもいち早く発展を遂げたアーユルヴェーダは、シルクロードやスエズ運河を経てギリシャにわたり、西洋医学にも大きな影響を及ぼしました。「ギリシャ医学の父」と呼ばれるヒポクラテスは、旅先のペルシャでアーユルヴェーダの知識を得たという記録が残っていますし、古代マケドニアの英雄、アレクサンダー大王は東方遠征に敗れ帰国する際、アーユルヴェーダの医師を多数連れ帰ったといわれます。