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アーユルヴェーダに学ぶ食の健康法

サンスクリット語で「生命の科学」を意味するアーユルヴェーダでは、私たちが1日の生活をどのように過ごすか、どのようなものを食べているか、さらにどのような感情で過ごすかによって、健康状態が大きく左右されることを説いています。このなかでいちばん大切なのが食事です。ライフスタイル、ヨーガ、マッサージなどももちろん影響しますが、健康の源は体の中から生まれるものですので、良い食事をすると健康になるというのがアーユルヴェーダの考えなのです。

では、「良い食事とはどうやって決めればいいのかな……?」と、みなさんは考えますね。 アーユルヴェーダの最大の特徴は、3つのドーシャに対する考え方です。ドーシャとは、生まれ持った体質のようなもの。私たちはそれぞれ、「ヴァータ(空気)」、「ピータ(火)」、「カーファ(水)」という3つのドーシャのどれかを持っていて、これが乱れると病気になりやすくなります。つまり、自分のドーシャを知り、これにに合った食べ物を食べていれば病気を予防でき、より健康的な生活を送れるというわけです。

たとえば、ヴァータのイメージは「空気」です。このドーシャを持っている人は乾燥しやすい体質であるため、冷たいもの、乾燥したものはなるべく食べないほうが良いのです。そのかわりに熱いもの、油があるもの、消化しやすいものを食べると効果的です。ピータのイメージは「火」です。このドーシャを持っている人の体は温かく油っぽいですから、辛いもの、熱いもの、油っぽいものを摂りすぎるとよくありません。そのかわりに体を冷やすもの、生野菜のサラダ、果物をたくさん食べたるといいのです。また、「水」をイメージするカーファのドーシャを持っている人の体は冷たくなりやすく、重いのが特徴。そのため、冷たいものや生野菜のサラダはいっそう体を冷やしてしまいます。だから、熱いもの、ちょっとピリッと辛いものなどを摂るようにすると体のバランスが整います。

本当に良い食事のためには、料理の状態(熱い、または冷たい)、鮮度(新鮮または古い)、食べ合わせなどを考えるべきですし、季節、時間、心の状態などをも消化に大きく影響します。そして新鮮なものを食べることがとても重要です。料理は作ったその日のうちに食べるのが良く、アーユルヴェーダでは調理から3日後に食べると体に毒素が溜まるといわれています。また、デトックス効果のある野菜と果物をたくさん摂ることをすすめています。「食事は薬」であることを考えながら食べることが大切です。もちろん、いろいろなものを食べていいのですが、必要以上に食べすぎないこと、そして自分のドーシャに合わないものは控え、自分の体に合わせた食べ方をするよう心がけましょう。

まず、チェックリストで自分のドーシャを知り、これに合った食べ物を選ぶことから始めてみてはいかがでしょうか。

ミラ・メータさんプロフィール
インド料理研究家。ムンバイ(ボンベイ)出身。

ムンバイ大学で科学を専攻。卒業後、料理学校で料理とテーブルセッティングを学ぶ.1974年、ご主人の仕事の関係で来日。1979年からインドのスパイス等の効果を教えながら料理教室を主宰。雑誌、新聞、テレビ、などで本場のインド料理またはアーユルヴェーダ的な料理などの紹介。料理教室または学校講師、講演活動。

主な著書に
「はじめてにインド料理」「もっと食べたいインド料理」「インド、カレーの旅」(文化出版局)/「東洋医学で食養生」「人気の韓国&アジアごはん」(世界文化社)/「料理の基本大図鑑」「パンの基本大図鑑」(講談社)/「おいしい!やさい料理塾」 1&2  (集英社)